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寅さん全作品解説/第20作『男はつらいよ寅次郎頑張れ!』(1977年12月公開)

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本作をひとことで言うと

寅さんの恋愛コーチ

人気若手俳優の中村雅俊・大竹しのぶをゲストに迎え、寅さんが本格的な恋愛コーチに乗り出す初の作品。寅さんの恋愛はサブプロットに収まり、「アイ・ラブ・ユー。できるか青年?」の名言も飛び出す恋愛指南が作品の中心となる。大竹しのぶの瑞々しい熱演とシリーズ屈指の珍場面とらや大爆発は必見。

マドンナ

藤村 志保(当時 38歳)

役名:島田藤子
職業:土産物店の女主人

記念すべき初代マドンナは、本作が映画デビューとなった舞台俳優の光本幸子。御前様の娘・冬子を演じている。冬子は寅さんと幼馴染で、子供の頃は寅さんに「出目金」というあだ名をつけられていた。清楚かつ上品ながら寅さんとボートレース遊びをして大興奮するなど、お茶目なところもある良家のお嬢様。

第20作「男はつらいよ寅次郎頑張れ!」解説・評論

若手俳優をゲストに迎え、寅さんが本格的恋愛コーチに乗り出す

タコ社長「寅さんが遂に現役を引退してね、コーチに就任したって話をしてたんだよ」
博「現役の時はダメでも、コーチになったらよくなったってこともありますからねえ」
一同「わははは!」

第20作「男はつらいよ寅次郎頑張れ!」

寅さんが就任したコーチとは、もちろん恋のコーチ役である。第20作『寅次郎頑張れ!』は寅さんが恋のキューピッドとして本格的に活躍をする初めての作品だ。

寅さんが恋の支援をするのは、とらやに下宿するワット君(中村雅俊)と、彼が通う定食屋の娘・幸子(大竹しのぶ)の若い二人。

寅さんはこれまでも何度か人様の恋愛コーチを務めてきたが、物語の中心はあくまで寅さん自身の恋愛にあった。しかし、本作ではコーチを受ける若い二人がメインに据えられ、寅さんの恋はほとんどおまけ的なポジションに収まっている。シリーズ20作目にして、寅さんがいよいよ恋物語の主役を譲るのが本作最大の特徴だ。

初デートを前にしたワット君へ、微に入り細にわたるデート指南を延々と続けるシーンは本作の見どころのひとつ。これまで数十人のマドンナにフラれ続け、未だ独身である寅さんが得意気に語る「アイ・ラブ・ユー。できるか青年?」には、当時の観客全員から「お前が言うな!」の総ツッコミが入ったことだろう。必見の爆笑シーンである。

キャストにおける注目は、当時若干20歳であった新進女優の大竹しのぶ。恋に揺れる乙女心を実に巧みに演じており、彼女が出演するシーンだけ心なしかスクリーンに輝きが増す。本作の大竹しのぶは完全に「マドンナ食い」といってもよく、瑞々しいその熱演は要注目である。

コーチ役に徹するかと思われた寅さんだったが、物語後半にはマドンナ藤子(藤村志保)に出会い、観客の期待通り早々に恋の現役復帰を果たす。しかし、本作における寅さんの恋はサブプロットであるため、いまひとつ盛り上がりに欠けるのが正直なところ。

人気若手俳優の起用、サブにまわった寅さんの恋など、シリーズの新展開を模索するような試行錯誤が随所に見られる本作であるが、その中でも最大の試行錯誤といってもよい珍シーンがある。それが「とらや大爆発」である。

爆発前の煽りと焦らしは実にスリリングで楽しいシーンだが、ここでの笑いはこれまでの作品にはついぞなかったタイプの笑いである。「普通に死ぬでしょ!?」という驚きとともに、シリーズがついに過渡期を迎えたことを強く印象づけるシーンである。

渥美清 (出演), 倍賞千恵子 (出演), 山田洋次 (監督)
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第20作「男はつらいよ寅次郎頑張れ!」 作品データ

公開1977年(昭和52年)12月24日
上映時間95分
主な出演者[車寅次郎]渥美清
[諏訪さくら]倍賞千恵子
[島田藤子]藤村志保
[島田良介(ワット君)]中村雅俊
[福村幸子]大竹しのぶ
[幸子の叔父]築地文夫
[神父さん]寺尾聡
[車竜造]下條正巳
[車つね]三崎千恵子
[諏訪博]前田吟
[桂梅太郎]太宰久雄
[源公]佐藤蛾次郎
[満男]中村はやと
[御前様]笠智衆
同時上映ワニと鸚鵡とおっとせい(郷ひろみ)
観客動員数188万1,000人
※『男はつらいよ』寅さん読本/寅さん倶楽部[編]より
洋題Tora-san Plays Cupid

「男はつらいよ」全作品解説リンク

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