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寅さん全作品解説/第22作『男はつらいよ噂の寅次郎』

本作をひとことで言うと

魔性のマドンナ・大原麗子登場!

大原麗子が離婚間近の人妻マドンナを演じる第22作。寅さんはもちろん従兄弟ですら虜にしてしまう妖艶な魅力はまさに魔性。唐突な「寅さん好きよ」発言や終盤の性急な展開など脚本に甘さは残るが、大原麗子の美しい面影がただただ印象深い。志村喬、泉ピン子らが脇を固め、秋深い信州路の景色など要所での映像美が光る。

マドンナ/大原麗子

役名:水野早苗(とらやのお手伝い)

寅さんシリーズ一二を争う美女といってもいいマドンナ大原麗子。儚げな美貌、耳に残る湿った声、時折見せる子供のような可憐な表情が実に印象深い。作品鑑賞後、まず思い出されるのはきっと彼女の美しい面影となることだろう。

第22作「男はつらいよ噂の寅次郎」評論

魔性のマドンナがその魅力で周囲を狂わせる「寅さん女難の巻」

第22作『噂の寅次郎』には、美しい人妻マドンナ・早苗(大原麗子)が登場する。彼女は離婚にむけて夫と別居中の身で、生活のためとらやの求人に申し込む。儚げな美貌にどこか妖艶さを秘めており、この美しさに寅さんがすっかりあてられてしまうという作品だ。

早苗がその美貌から繰り出す必殺の仕草三連発「見ないで……」「あたし泣きそう……」「わたし、寅さん好きよ!」で、寅さんをすっかり恋の虜にしてしまうシーンは本作の見どころ。

特に、「わたし、寅さん好きよ!」発言は離婚届けを提出したその日のもので、言い放つ際の無邪気な表情もあわせて、文脈上真意が測りかねる問題発言だ。「あの人なんであんなこといっちゃたんだろう……」と観客はもちろんとらや一同を困惑に陥れる。

これら魔性の言動は、早苗の従兄弟である肇(室田日出男)さえも虜にしている。彼は幼なじみの時分から早苗に恋心を抱き、その気持ちは成人した今でも変わらない。彼女の前途のために「水野早苗」名義の貯金通帳を作り、100万円を貯めこんでいたというのは、従兄弟という間柄を考えると異様ですらある。

少し穿った見方をすれば、本作のマドンナ早苗は、溢れんばかりの妖しい魅力で、無意識の内に周囲を狂わせていくいわば魔性の女(本人が無意識であるからなおのこと魔性といえる)。作品冒頭、行きずりの僧侶(大滝秀治)が寅さんに「女難の相が出ている。お気をつけなされよ」と警告するが、本作の裏テーマは「魔性の女による女難」といってもいいだろう。

物語の終盤、早苗に心底惚れている肇の想いを知った寅さんは、マドンナへの恋慕から身を引き旅に出る。この結末にいたるプロセスはいかにも性急で、脚本の甘さをシリーズのお約束によって乗り切っている感は否めない。しかし、鑑賞後には大原麗子のただただ美しい面影が印象に残り、しっとりとした後味を残す作品となっている。彼女の存在が本作品に与えている影響は極めて大きい。

なお、本作には博の父親役として志村喬が第8作以来の出演、作品にどっしりとした重みを与えている。若き日の泉ピン子もコメディエンヌとして作品に花を添える。本作から採用された新カメラ「パナビジョン」が生み出す映像にも注目で、志村喬が寅さんと秋深い信州路をゆくシークエンスの映像美は特に素晴らしい。

渥美清 (出演), 倍賞千恵子 (出演), 山田洋次 (監督)
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第22作「男はつらいよ噂の寅次郎」 作品データ

第22作「男はつらいよ噂の寅次郎」 予告編

第22作「男はつらいよ噂の寅次郎」 あらすじ

準備中

第22作「男はつらいよ噂の寅次郎」 作品データ

公開1978年(昭和53年)12月27日
同時上映俺は上野のプレスリー(吉幾三)
観客動員数191万5,000人
※『男はつらいよ』寅さん読本/寅さん倶楽部[編]より
洋題Talk of the Town Tora-san
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