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寅さん全作品解説/第15作『男はつらいよ寅次郎相合い傘』

本作をひとことで言うと

必見!メロン騒動&寅のアリア

シリーズ最高傑作の誉れ高い第15作。寅・リリー・パパの3人が織りなすロードムービーは心地良さに満ち溢れ、映画後半は、寅のアリア・メロン騒動・相合い傘の名場面三連発が華を添える。気力体力ともに充実した渥美清の演技は名優の名にふさわしいもので、シリーズはここにひとつの極みを迎える。

マドンナ/浅丘ルリ子

役名:リリー松岡(旅回りの歌手)

11作『寅次郎忘れな草』に引き続き2度目の出演となる浅丘ルリ子。添い寝をねだる、相合い傘で寄り添うなど、寅さんに甘えるもっとも可愛いリリーが見られる。

第15作「男はつらいよ寅次郎相合い傘」評論

渥美清の名演が冴え渡る、シリーズ中期の傑作

第15作『寅次郎相合い傘』をシリーズ一番の傑作とあげる人は多い。数あるシリーズ作品ランキングでもトップ3の常連である。名場面、見どころが本当に多く、個人的にもシリーズ中期の傑作だと思う。

マドンナ・リリー(浅丘ルリ子)はシリーズ2度目の登場。前作でしっかりと印象深い人物像を描いているため、本作では冒頭から柴又に登場、違和感なく物語に溶けこむ。寅さんは風変わりな中年男性・通称パパ(船越英二)と二人旅の途中、リリーと再会する。ここからはじまる楽しい三人旅が本作最初の見どころ。目的もあてもなく時間にも追われないその旅は、心をすっかり開放してくれる。この幸せな時間がずっと続けばいいのにと思うほど、三人のロードムービーは心地良さに満ち溢れている。

寅とリリーの大喧嘩でこの旅は唐突に終わりを迎えるが、悔恨の思い止まない二人は、まるで申し合わせたかのようにとらやで再会、物語の舞台を柴又へと移す。ここからはじまる映画後半では、寅さんとリリーのささやかな日常のスケッチが中心となる。いわゆる「寅のアリア」「メロン騒動」「相合い傘」という名場面が展開されるのがこのパート。

なかでも、歌手リリーの晴れ姿を想う「寅のアリア」は名優・渥美清の独壇場だ。

「ベルが鳴る、場内がスーッと暗くなるな……」。独演は静かに始まり、この一言をきっかけに渥美は場の空気を瞬間で変えてしまう。セリフはもはや演技を超越しており、その空気が伝播したのか、おばちゃんの合いの手さえも演技を忘れた三崎千恵子本人の飾らない感嘆のように聞こえる。リリーを想う寅の気持ちの美しさに思わず涙がこぼれる、シリーズ最大の名場面といってもいいだろう。仮にシリーズ初期の渥美清が同じ脚本を演じたとしても、このシーンはここまで素晴らしいものにはならなかっただろう。人生観に深みを増し、気力、体力がみなぎるこの時期でしか成立しえなかった名場面だ。

作品全体に通底しているのは「誰かの幸せを祈る気持ち」「見返りを期待しない人間関係」「時間に追われない暮らし」であり、劇中人物のパパに象徴される多くの都市生活者にとって、本作は浮世の辛さを忘れさせる極上のヒーリングムービーとなりうるだろう。シリーズ中期の作品はいずれも名作揃いだが、その中でもひときわ輝く傑作である。

渥美清 (出演), 倍賞千恵子 (出演), 山田洋次 (監督)
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第15作「男はつらいよ寅次郎相合い傘」 作品データ

第15作「男はつらいよ寅次郎相合い傘」 予告編

第15作「男はつらいよ寅次郎相合い傘」 あらすじ

準備中

第15作「男はつらいよ寅次郎相合い傘」 作品データ

公開1975年(昭和50年)8月2日
同時上映ザ・ドリフターズのカモだ!御用だ!(ザ・ドリフターズ)
観客動員数200万人
※『男はつらいよ』寅さん読本/寅さん倶楽部[編]より
洋題Tora-san’s Rise and Fall
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