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寅さんマニアが本気で推す13冊!「男はつらいよ」関連書籍ベストセレクション

「男はつらいよ」シリーズにハマり、各作品の鑑賞を進めていくうちに、映像だけでなく書籍にも手を伸ばした寅さんファンは多いのではないか。かくいう私も、2008年に「男はつらいよ」にドハマりし、熱心に作品を観進めていた頃、同時並行で寅さん本も読み漁り、寅さん熱を大いに高めていた。

これまで読んだ本は書評として本サイトに数多くアップしてきたが、その中には「ぜひ多くの人におススメしたい!」と思う名著がいくつか存在した。本記事はそんなお薦めの寅さん本を厳選してまとめた「男はつらいよ」関連書籍ベストセレクションである。

それにしても、実質的なシリーズ最終作「寅次郎紅の花」からすでに30年近く経っているというのに、今だに寅さん本がコンスタントに出版されているのは本当に驚くべきことである。これらの書籍を通じて、「男はつらいよ」シリーズの奥深さや魅力を、より一層楽しんでいただければ幸いである。

なお、ベストセレクション以外の書籍は下記にまとめているのであわせてご覧いただきたい。

目次

男はつらいよシリーズ・各作品を深く知るなら

「みんなの寅さん ─男はつらいよの世界」佐藤忠男

映画史・芸能史の観点から寅さんをマニアックに評論

映画評論家・佐藤忠雄による「男はつらいよ」作品論。映画史・芸能史の観点から「男はつらいよ」シリーズを深く分析する非常にレベルの高い映画評論。特に注目なのは、寅さんはアメリカ西部劇や「股旅もの」からの影響を受けているとする独自の作品論。膨大な映画知識に裏打ちされたマニアックな寅さん論が、流麗な文章で展開される本書はひたすら楽しく面白い。一読すれば寅さんシリーズの見方がぐっと深いものになるだろう。

「知識ゼロからの寅さん入門」岡村直樹・藤井勝彦

寅さんビギナーからマニアまで楽しめるバランスの良い寅さん本

著:岡村直樹・藤井勝彦、監修:川本三郎
¥1,430 (2025/04/18 13:52時点 | Amazon調べ)

『知識ゼロからの寅さん入門』は、岡村直樹・藤井勝彦による「男はつらいよ」シリーズの解説書。寅さんのキャラクター解説やシリーズ誕生の背景、見どころ、マドンナや登場人物紹介、作品紹介など、寅さんに関する基本的な知識が一通り得られるガイドになっている。「知識ゼロからの~」とあるがシリーズに関するマニアックな情報も紹介しており、初心者から寅さんマニアまで楽しめる内容になっている。寅さんシリーズを今まさに観進めている人にとって、作品の楽しさ面白さを共有できるよいガイドになるだろう。

渥美清の才能・人柄を深く知るなら

「おかしな男 渥美清」小林信彦

渥美清のミステリアスな素顔に迫る!渥美清評伝の決定版

小林信彦
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若き日の渥美清と親交があった評論家・小林信彦による渥美清評伝。小林曰く、素顔の渥美清はリアリストで神経質、さらに、人を寄せ付けない雰囲気があるという。人情味あふれる「寅さん」の印象とは真逆の人物像だが、そんな渥美清のミステリアスな素顔を知ることで「男はつらいよ」シリーズの見方はより一層深いものになるだろう。ブレイク以前の渥美清に多くのページが割かれており、この時期の渥美清をここまで丹念に記した本は他にない。渥美清のプライベートにも迫った読み応え十分の名著。

「渥美清─浅草・話芸・寅さん」堀切直人

様々な書籍からの引用で構成された渥美清の伝記的評伝

堀切直人
¥2,090 (2025/04/13 11:10時点 | Amazon調べ)

『渥美清 浅草・話芸・寅さん』は、堀切直人による渥美清の伝記的評伝。渥美清の幼少期から浅草フランス座での活躍、そして「男はつらいよ」シリーズでの活躍までを網羅している。幼少期の渥美清がどのようにして浪曲や落語を通じて「見えない情景を話術で想像させる芸」の基礎を築いたかなど、彼の芸術的才能の源流を知ることができる。本書は、寅さんや渥美清に関する数多くの書籍からの引用で成り立っているため、一冊で複数書籍のおいしいところを一気に押さえることができる。

渥美清の晩年・闘病生活を深く知るなら

「渥美清の伝言」NHK渥美清の伝言制作班

渥美清追悼本の中でも特に読み応えがある一冊

NHK「渥美清の伝言」制作班
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「渥美清の伝言」は、渥美清の没後に放送されたNHKの特別番組『渥美清の伝言』の書籍版。番組に収まりきらなかった貴重なインタビューと番組制作秘話をあわせて一冊にまとめており、番組ディレクターの回想、渥美清インタビュー、第48作「寅次郎紅の花」密着取材、渥美清没後に取材された山田洋次・黒柳徹子・倍賞千恵子ら関係者のインタビューで構成されている。渥美清を知る誰もが「珍しい」「めったにない」と驚いたロケ中の渥美清インタビューでは、「くたびれちゃう」「疲れた」「もう精一杯」という言葉が飛び出し、当時の渥美清の心中をリアルに反映している。

「寅さんこと渥美清の死生観」寺沢秀明

渥美清はいかにして「ガン」と「死」に向き合ったか

寺沢秀明
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『「寅さん」こと渥美清の死生観』は、元新聞記者の寺沢秀明氏が、渥美清との8年間にわたる親交を振り返り、渥美清の晩年とその死生観を深く掘り下げたエッセイ。渥美清のプライベートや病との闘い、死に対する考え方が詳述されている。晩年、ガンに苦しんだ渥美清の苦悩や宗教的議論が多く含まれており、渥美清の深い内面を垣間見ることができる。

共演者・マドンナが語る渥美清

「お兄ちゃん」倍賞千恵子

倍賞千恵子による渥美清の追悼本

倍賞千恵子
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『お兄ちゃん』は、渥美清の死後に倍賞千恵子が書き下ろした渥美清に関するエピソード本。34年間にわたり共演し、公私ともに深い付き合いをしていた倍賞千恵子だからこそ語ることができる、渥美清の素顔が描かれている。渥美清とコンサートで共演した際の貴重な写真をはじめ、二人の深い絆が感じられるエピソードが満載。倍賞千恵子の親しみやすい語り口で書かれたこの本は、ファンにとって貴重な一冊になるだろう。

「私が愛した渥美清」秋野太作

初期寅さんの名脇役・秋野太作(津坂匡章)が語る渥美清の思い出

秋野太作
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『私が愛した渥美清』は、秋野太作(津坂匡章)が渥美清との思い出を記した一冊。秋野太作は、初期寅さんにおいてテキ屋の登を演じてシリーズを盛り上げた名脇役。憧れの渥美清を見るためだけに高価なビデオデッキを購入した話や、ドラマ版寅さんの舞台裏の緊張感、そして映画版『男はつらいよ』の誕生背景など、興味深い内容が描かれている。臨場感たっぷりの数々のエピソードから、渥美清が「天才」「希代の俳優」と呼ばれた理由を理解できるだろう。登がいつの間にか『男はつらいよ』シリーズから姿を消した理由もしっかり言及されている。

「朝日新聞版 寅さんの伝言」小泉信一

朝日新聞の寅さん関係者インタビューをまとめた一冊

小泉信一
¥1,600 (2025/04/14 00:58時点 | Amazon調べ)

『朝日新聞版 寅さんの伝言』は、朝日新聞編集委員・小泉信一氏による「男はつらいよ」シリーズ関係者へのインタビュー本。朝日新聞で2年間にわたり連載された90本の記事を集成している。渥美清や歴代マドンナ女優、ゲストスター、脇役など、多くの関係者のエピソードが集められ、彼ら彼女らの視点から渥美清、そして、「男はつらいよ」の世界が描かれている。他の書籍では見かけないようなマドンナ女優の貴重なコメントが数多く掲載されているほか、ロックミュージシャンのイギー・ポップに「Do you know Torasan?」とたずねられた永瀬正敏の仰天エピソードなども収録されている。

男はつらいよのロケ地・名セリフを知るなら

「男はつらいよ 寅さんロケ地ガイド」

寅さん全48作のロケ地を徹底ガイド 聖地巡礼のお供に最適

「男はつらいよ 寅さんDVDマガジン」編集グループ
¥22,100 (2025/04/14 17:01時点 | Amazon調べ)

『「男はつらいよ」寅さんロケ地ガイド』は、「男はつらいよ 寅さんDVDマガジン」の「ロケ地を歩こう」コーナーを再編集したもの。全国各地のロケ地を都道府県別に紹介し、各地の撮影スポットや休憩に使われた店などもかなり細かく掲載されている。ロケ地巡りの際のガイドブックとして非常に重宝する機能的な一冊。残念ながら絶版になってしまったのか、2025年4月現在、中古価格が2万円を超えるなど高騰している。定価で見かけたら即買いすべし一冊。

「男はつらいよ 寅さん発言集」バップ

劇中の名シーン・名ゼリフをそのまま音源化した音楽CD

¥2,077 (2025/04/12 22:51時点 | Amazon調べ)

『男はつらいよ 寅さん発言集』は、1996年に発売されたCD。寅さんの語りを中心に『男はつらいよ』劇中のセリフをそのまま収録している。第1作オープニング寅次郎のひとり語りから、第8作「りんどうの花」、第15作「メロン騒動」など、男はつらいよシリーズの名シーンのセリフを多数収録している。映像という視覚的要素がないため、渥美清の声の表現力が際立つ。まさに「耳で楽しむ」男はつらいよである。

その他

「愛と人生」滝口悠生

第39作「寅次郎物語」をモチーフにした独創的な寅さん小説

¥660 (2025/04/16 13:54時点 | Amazon調べ)

『愛と人生』は、芥川賞受賞作家の滝口悠生氏が書き下ろしたオリジナル小説。第39作「寅次郎物語」の秀吉が主人公として描かれており、彼が寅次郎と一緒に行方不明の母を探す旅に出るストーリーになっている。映画の中のワンシーンを小説として展開することで登場人物たちの心情が映像とは違った形で胸に迫る。寅さんファンの滝口氏らしい寅さんシリーズの作品論(寅さんはなぜ、わざわざ江戸川から矢切の渡しにのって帰郷するのか?など)も時折登場する。寅さんシリーズ全作鑑賞の2週目に入ったぐらいの方におススメしたい。

「映画をたずねて 井上ひさし対談集」井上ひさし

井上ひさしが渥美清に捧げた追悼文は日本芸能史に残る名文章

『映画をたずねて 井上ひさし対談集』は、劇作家・井上ひさしによる対談集。黒澤明や市川崑など著名な映画関係者たちとの対話が収録されている。「男はつらいよ」関連では、渥美清、山田洋次、小沢昭一、関敬六らが登場している。注目は、井上ひさしが渥美清に捧げた追悼文。渥美清と井上ひさしは浅草フランス座時代の同僚であり、当時の渥美清がいかに天才役者であったかを臨場感豊かに回想するその文章は、タイムマシンができたらまずはフランス座に飛びたくなるほどの名調子だ。日本語の文章が到達しうる美しさの極みといってもよい名文はぜひ多くの人に読んでもらいたい。

以上、男はつらいよお薦め本13選をお送りしました。みなさんのお薦め本もページ下部のコメント欄でぜひ教えてください!

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