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寅さん全作品解説/第2作『続・男はつらいよ』(感想・評論・あらすじ・出演者)

本作をひとことで言うと

寅さん、生き別れの母に会う

母への思い、恩師の薫陶など、暖かいテーマで人間味溢れる山田洋次節が炸裂する第2作。未開発の柴又、佐藤オリエの親しみあるマドンナなど心が癒される道具立てが満載。「さしづめインテリ」の名言を生み出した渥美の演技は本作も絶好調で、ミヤコ蝶々、東野英治郎ら芸達者達とのバトルが楽しめる。

マドンナ/佐藤オリエ

役名:坪内夏子(音楽家)

第2作の暖かな雰囲気はマドンナ・佐藤オリエに依るところが大きい。寅さんへの接し方は、まるでわが子に対する母親のよう。全48作品中、もっとも母性を感じさせるマドンナといってもいいかもしれない。

目次

第2作「続・男はつらいよ」感想・評論

母、恩師、幼なじみなど、心癒されるテーマに溢れた秀作

第1作「男はつらいよ」は54万人の観客動員を記録し、スマッシュヒットとなった。(ちなみに、その年の邦画1位は石原裕次郎主演「栄光の5000キロ」で動員300万人、興収12億円)

当時、喜劇映画ではほとんどヒット作がなかった松竹は、この成績を受け続編の製作を急遽決定。男はつらいよはこうしてシリーズ化の道を歩むこととなる。

驚くべきはそのスケジュール。第1作は1969年8月27日公開。第2作はなんと3か月後の11月15日に公開されるのだ。今の映画事情からは考えられない製作ペースである。

第2作では、幼き日々に生き別れとなった母への思い、やんちゃを叱られた懐かしい恩師の薫陶など、山田洋次お得意の普遍性ある暖かいテーマが主軸となっている。

舞台となる葛飾柴又も、昭和の面影を色濃く残した未開発の風景。幼なじみである佐藤オリエのマドンナは母性たっぷりに寅次郎を「寅ちゃん♪」と呼ぶ。幼き日々の懐かしい思い出を想起させる設定が満載で、シリーズ48作中でもっとも子供のような寅次郎が楽しめる作品だ。

渥美清の演技は本作でも絶好調。まず、後期作品では絶対に見られない体をはったドタバタを展開している。サッカーボールをおもいっきり空振りして転倒するなど、よく見るとかなり痛そうな芝居にも意欲的に取り組む。

母親役のミヤコ蝶々との演技では、自分の技を思いっきりぶつけられる安心感からか、他のシーンより熱演度が1.5倍増し。東野英治郎との芝居がかった師弟関係のシーンも、東野のどっしりとした演技にぶつかり稽古で挑んでいる。今では名優の誉れ高い山崎努も恋敵役で出演しているが、この重鎮二人に比べるとどうしても存在が軽く見えてしまう。芸達者達の演技バトルを十分に堪能できる作品だ。

2作目にして、その後のシリーズお約束となる型がほぼできあがっている本作品。幼き日々の甘い思い出を呼び起こす、ゆったりと、豊かな喜劇作品に仕上がっている。

渥美清 (出演), 倍賞千恵子 (出演), 山田洋次 (監督)
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第2作「続・男はつらいよ」作品データ

第2作「続・男はつらいよ」 予告編

第2作「続・男はつらいよ」 あらすじ

寅さんこと車寅次郎(渥美清)は、赤ん坊の頃に生き別れた母親に会う夢を見ていた。「おっかさーん!」と叫ぶが相手は何も答えない。ふと目覚めるとそこは旅先の旅館。何かを暗示するような寅さんの夢で物語は始まる。

久しぶりに生まれ故郷の葛飾柴又に帰ってきた寅さん。叔父(森川信)・叔母(三崎千恵子)が経営するだんご屋・とらやに立ち寄った後、江戸川沿いを歩いていると、かつての恩師・坪内散歩先生(東野英治郎)と坪内先生の娘・夏子(佐藤オリエ)に再会する。寅さんと夏子は幼馴染の間柄である。

3人が旧交を温めながら盃を交わしていると、寅さんは突如胃けいれんを起こし、病院に担ぎこまれてしまう。そのまま入院した寅さんは、医者や看護婦の言うことを聞かずに病室で大騒ぎ。やりたい放題の寅さんを注意した担当医・藤村(山崎努)に対し、寅さんは「てめぇさしずめインテリだな?」と反発する。

ある日、病院を勝手に抜け出した寅さんは、舎弟・登(津坂匡章)とあろうことか焼肉屋で陽気に一杯やっていた。しかし、2人は現金を持ち合わせておらず、無銭飲食および暴行の疑いで警察に連行されてしまう。迎えにきた妹・さくら(倍賞千恵子)を泣かせてしまい、惨めさに打ちひしがれた寅さんは、翌朝、散歩先生に別れを告げて葛飾柴又を飛び出していく。

ひと月後、京都をフラフラしていた寅さんは、偶然、京都観光をしていた散歩先生・夏子にばったり再会する。寅さんは散歩先生に、産みの母親が京都の「グランドホテル」で働いていることを告げると、いますぐ会いに行けと強く諭される。気乗りしない寅さんだったが、夏子の付き添いを得て「グランドホテル」に向かうと、そこはなんとラブホテル!そして、口の悪いグランドホテルの女将こそが寅さんの母親・お菊(ミヤコ蝶々)だったのだ。「今頃何の用事やねん。銭か?銭はあかんで」。お菊のひどい言葉に、38年間抱きつづけてきた優しい母親のイメージをぶち壊された寅さんは、散歩先生・夏子に付き添われ、傷心状態のまま葛飾柴又に帰ってきたのである。

京都の一件から数日が過ぎ、心の傷が癒えつつあった寅さんは、優しい夏子への恋心を募らせていく。そんなある日、寅さんは散歩先生に呼び出され、「江戸川で釣ったうなぎが食いたい」と頼まれる。釣れるわけがないと渋々釣り糸を垂らす寅さんだったが、見事にうなぎをゲット。子供のようにはしゃぎながら散歩先生のもとに向かうが、近頃体調を崩していた坪内先生はなんと、椅子にもたれて一人静かに息を引き取っていた。

散歩先生のお通夜で泣き崩れる寅さんは、御前様(笠智衆)から「こういう時こそお前がしっかりしろ」と叱られる。その言葉を受けて心を入れ替えた寅さんは、散歩先生の葬式を見事に取り仕切る。すると、その葬式に寅さんの担当医だった藤村がやってくる。寅さんの知らない間に、藤村と夏子は結婚の約束をした恋人の間柄になっており、寅さんは2人が抱き合う姿を目撃してしまうのだった。散歩先生の死、そして、失恋の痛手を受けた寅さんは、旅に出る決心をする。

数日後、新婚旅行で京都を訪れた夏子と藤村。そこで夏子はなんと、寅さんとお菊が2人で町を歩いている姿を目撃する。「お父さん、寅ちゃんはお母さんに会っていたのよ」。2人が仲良くやっていることを、亡き父に報告する夏子のモノローグで物語は幕を閉じる。

第2作「続・男はつらいよ」 出演者

第2作「続・男はつらいよ」主要キャスト

【車寅次郎】渥美清
【諏訪さくら】倍賞千恵子
【坪内夏子】佐藤オリエ
【お菊】ミヤコ蝶々
【藤村薫】山崎努
【お澄】風見章子
【車竜造】森川信
【車つね】三崎千恵子
【諏訪博】前田吟
【川又登】津坂匡章
【御前様】笠智衆
【源吉】佐藤蛾次郎
【桂梅太郎】太宰久雄

第2作「続・男はつらいよ」その他キャスト

[焼肉屋・京城園の主人]江幡高志/[刑事]山本幸栄/[患者1]小田草之介/[葬儀屋]北竜介/[患者2]大杉侃二郎/[葬式の客]水木涼子/[看護婦]呉恵美子/[患者3]高木信夫/[ご近所]土田桂司/[共栄印刷の職工1]市川達巳/[共栄印刷の職工2]千草旦子/[共栄印刷の女工]藤間恵美/[とらやの店員]脇山邦子/[共栄印刷の職工3]石井愃一/[御前様]笠智衆/[盲腸の患者]財津一郎/[車竜造]森川信/[坪内散歩先生]東野英治郎/[満男]中村はやと/[患者の付き添い・葬式の客]谷よしの

※配役や役名は、書籍「みんなの寅さん from 1969」(著・佐藤利明)を参考にさせていただきました。

第2作「続・男はつらいよ」 作品データ

公開1969年(昭和44年)11月15日
同時上映喜劇・よさこい旅行(フランキー堺)
観客動員数48万9,000人
※『男はつらいよ』寅さん読本/寅さん倶楽部[編]より
洋題Tora-san’s Cherished Mother
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