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寅さんの聖地を巡るシリーズ10~第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」旅芸人・板東鶴八郎一座と再会するラストシーンのロケ地(山梨県北杜市・西井出地区)

今回の「寅さんの聖地を巡るシリーズ」は、名作の誉れ高い第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」のラストシーンのロケ地を巡礼する。

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第8作のラストシーンは、数ある「男はつらいよ」シリーズのラストシーンの中でも一、二を争う出来栄えだ。登場するのは、寅さんが作品冒頭で出会った旅芸人・坂東鶴八郎一座の面々。

本作の寅さんはマドンナ貴子(池内淳子)に恋をするが、放浪者(寅さん)と定住者(貴子)の価値観の違いを知り、フラれる前に葛飾柴又を飛び出す。悲しみを胸に秘め、再び放浪を続けようとした矢先に、寅さんは同じ放浪者の旅芸人一座に再会する。漂泊の悲しみに負けず、ともに肩を寄せ合いながら旅を続けるラストシーンは、寅さんシリーズ特有の「泣き笑い」をより一層味わい深いものしている。

参考書籍は毎度おなじみ、寅さんロケ地巡礼者のバイブル「男はつらいよ 寅さんロケ地ガイド」。それでは早速、聖地巡礼の旅に行ってみよう。

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今回の寅さんロケ地データ

作品名第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」
公開1971年(昭和46年)年12月29日
住所〒409-1501 山梨県北杜市大泉町西井出8816
推奨移動手段車 or タクシー
到達難易度★★★☆☆
所要時間・中央自動車道 長坂ICから車で約5分
・JR長坂駅から車で約10分
目次

第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」ラストシーン周辺のロケ地マップ

まずはざっくりロケ地の場所を確認しておこう。

ロケ地のある山梨県北杜(ほくと)市は、山梨県の最北端にある市。あたりを見渡せば南アルプスと八ヶ岳が視界に飛び込んでくる自然いっぱいの土地だ。東京からは中央自動車道を利用して2時間~2時間30分程度の場所にある。

ロケ地周辺の住所は以下の通り。

〒409-1501 山梨県北杜市大泉町西井出8816

付近一帯は農村地帯のため、最寄り駅は遠く、路線バスも走っていない。巡礼には車かタクシーが必須だろう。高速道路を利用する場合、中央自動車道・長坂ICから約5分。鉄道とタクシーを利用する場合は最寄り駅JR長坂駅からタクシーで約10分。JR長坂駅から徒歩で向かう場合は片道約1時間もかかるので注意されたし。

第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」ラストシーンの聖地巡礼

富士山を背景にトラックが走り去るラストシーン撮影場所の現在

それでは早速ご覧いただきたい。第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」ラストシーンロケ地の現在である!

天候が良ければ映画と同じように富士山が見える

撮影当時と比べて道はしっかり舗装され、周辺には民家、電線、交通標識などが増えている。しかし、道の曲がり具合や、緩やかに下っていく勾配は当時のまま。

特に注目してほしいのは、遠景に薄っすらと映る富士山である。さすがに富士山は50年程度の時間経過では何も変化がない。この日は晴天に恵まれたため、若干霞がかってはいるが雄大な山容をしっかり確認できた。

実は前日にもこの場所を訪れていたのだが、その時はすでに日没後で、富士山も雲がかかって全く見えなかった。やはりあのシーン、カラリと晴れた日中で、しかも遠景に富士山があるのがいいんだろうな。

雲がかかると富士山は見えなくなってしまう

雄大な南アルプスと寅さんを映すショットを再現

寅さんが旅芸人一座に出会う直前のショットを再現してみた。撮影当時にはなかった電柱が目の前に建っており、雄大な南アルプスの尾根が若干隠れてしまうのが残念。しかし、周辺ののどかな農村の風景はそれほど変わっていなかった。

劇中の寅さんと同じアングルで撮影。ピントが甘いがそれなりにうまく撮れた

写真の柿は小道具として自宅から持参したもの。作品内の寅さんは、食べかけの柿を道端の石仏の上にちょこんと乗せて、これからどこに向かおうかと思案する。同じ石仏は見当たらなかったが、代わりに写真のような石碑が祀られていた。

石仏はなくなっていたが、同じ場所に石碑が祀られていた

撮影場所から少し離れた場所にも、かなりの年月が経った石仏や石碑がいくつかあった。

石仏や石碑があちこちに見られ、信仰が息づいているのを感じる

これらの石仏や石碑は、その地域を悪霊や疫病などから守るため地域の人が大切に祀っているもの。土地開発や区画整理の際に取り除かれることが多いが、この地域では今も変わらず大切にされているようだ。

茅葺屋根の民家はすでに建て壊されていた

第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」のラストシーンは、寅さんと農家のおばさんの会話から始まる。

おばさん「旅の人、これからどちらへ行きなさるな」
寅「そうよなぁ、どこって、これから寒くなるからよ、南の方へでも行くか。ヘヘッ、気楽なもんよ」

第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」

寅さんとおばさんが会話をするショットの撮影アングルも石碑のすぐ近くで見つかった。

寅さんと農家のおばさんが会話をするシーンの撮影アングル

写真撮影の最中にご近所の方がいたので、映画撮影当時のことを覚えていないかお話をうかがってみた。昔は、写真の中の木が生い茂っているあたりにも家、畑が広がっていたそうだ。映画の中に登場する茅葺屋根の家はだいぶ昔に建て壊されたという。

第8作「男はつらいよ寅次郎恋歌」ラストシーンロケ地巡礼のおまけ

昔ながらの「野焼き」の風景

第8作のラストシーンでは、寅さんの向こう側で白い煙が立ち上っているのが確認できる。あれは稲作後の畑で稲わらや籾がらなどを燃やす「野焼き」かもしれない。下の写真はロケ地周辺で偶然見かけた野焼きの風景だ。地域によっては野焼きを禁止しているところもあるが、この地域では現在も行われているようだ。

昔ながらの野焼きの風景

南アルプスと八ヶ岳がとにかく壮麗

それにしても、「男はつらいよ」ロケハンスタッフはこの広い北杜市の中から、本当によい場所を探し当てたものだと感心してしまう。ラストシーンのロケ地はなだらかな高台になっており、真正面に何の障害物もない状態で南アルプス北端の雄大な尾根を一望することができる。

南アルプスはとにかく美しかった

今回はうっかり巡礼場所から八ヶ岳を撮影することを忘れてしまったが、北杜市内はいろいろな場所から八ヶ岳を見ることができる。下の写真は宿泊したホテルの屋上展望台から撮影したもの。聖地巡りをした日は晴天に恵まれ、本当に気持ちのよい秋の一日だった。

八ヶ岳も実に壮麗だった

今回、ロケ地巡礼を行ったのは10月12日・13日だった。南アルプスに初冠雪が確認されるのは例年10月20日頃なので、11月頃に巡礼すれば、作品内と同じように雪化粧をした南アルプスを拝むことができるかもしれない。

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