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寅さんの聖地を巡るシリーズ1~寅さん記念館の「朝日印刷所」展示増設レポート

2012年12月15日(土)、葛飾柴又「寅さん記念館」がリニューアルオープンした。今回のリニューアルの目玉は、タコ社長が経営する「朝日印刷所」の増設である。

寅さん記念館の入り口をくぐると、おなじみとらや(くるまや)のセットがあらわれる。そのとらやの店内を抜け、お茶の間を抜け、台所を抜けると、「男はつらいよ」劇中と同じように、裏の勝手口に朝日印刷所のセットが登場する。

朝日印刷所の看板はちゃんと(?)少し錆びたトタンに打ち付けられている。2階には職工たち使い古しのタオルや、臭そうなタンクトップが干してあり、芸が細かい。このしみったれた感じ、まさしく朝日印刷所である。

朝日印刷所の印刷方式である「活版印刷」の説明と、印刷業界の変遷についての解説パネルがあった。寅さんシリーズがまだ続いていたころ、印刷業界では活版印刷からオフセット印刷への移行が進んでおり「イメージアップのためにも、朝日印刷所にもオフセット印刷機を導入してもえらないか?」と印刷業界からの要望があったらしい。

印刷所内のオブジェたち。古いラジオ、赤茶けた一斗缶など、置いてある道具のひとつひとつに年季が入っていてリアル。そこはかとなくインクの匂いがするなどこだわりが徹底している。

これは博がいつも操作してるアレ(機械の名前がわからない)。この前で仕事をしてるとだいたいタコ社長がやってきて、「おいおい困ったことになったぞ~!」「寅さんがすごい美人連れてきたんだよ!」と、仕事そっちのけでキャッキャするのだ(仕事しろ)。

事務机。零細工場の一角には、ホントにこんなのありそう。

天井の蛍光灯も相当なこだわりが感じられる。蛍光灯からぶら下がっているスイッチの芸の細かさよ!

劇中の寅さんはいつも「博!あんな小汚い印刷所やめちまえ!」などとヒドい言葉を罵るが、この展示を見る限り朝日印刷所は本当に小汚く、寅さんに共感すら覚えてしまう。

インクの匂いが充満するこの狭くて汚い職場で、安仕事に追われ、低賃金の生活にあえぐ博は、数十年間何を思って仕事に打ち込んできたのであろうか。博が時折こぼす「兄さんはいいなあ」の一言。その一言にもぐっと重みが増してくる、そんな朝日印刷所の展示増設であった。

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