イギー・ポップ。ロックに詳しい方ならご存知であろう、言わずと知れたパンク界のゴッドファーザーである。
若い頃は、ステージ上で体をナイフで刻む、ガラス破片の上を転げまわるなど、ヤンチャな所業を数々こなした。セックス・ピストルズ、ガンズ・アンド・ローゼス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどにも影響を与えた偉大なミュージシャンである。
このイギー・ポップが『男はつらいよ』を大好きらしいというのだから驚きである。情報源は、2013年6月に発売された書籍『朝日新聞版 寅さんの伝言』に収録された俳優・永瀬正敏へのインタビューである。
米映画『ミステリー・トレイン』(89年)に出演した永瀬は、監督のジム・ジャームッシュからある人を紹介されたことがある。なんと、中学時代からあこがれていた「パンクロックの神様」イギー・ポップだった。そしていきなり「ドゥー・ユー・ノウ・トラサン?」と聞かれた。
「えー!なんで知っているんだろう、と腰が抜けるほど驚きました」
あとで聞いたら、妻が日本人。親日派のイギー・ポップは日本に来たら、寅さん映画のビデオを買って、帰ってから見ていたのだという。
『朝日新聞版 寅さんの伝言』(107p)
ジム・ジャームッシュを経由して、イギー・ポップに会うだけでも相当な驚きであるが、その第一声が「ドゥー・ユー・ノウ・トラサン?」だというのだから、それは確かに腰が抜ける。
さて、永瀬正敏はイギー・ポップとの衝撃の対面から3年後の1992年、第45作『男はつらいよ寅次郎の青春』に出演。マドンナの弟、地元漁師の竜介役として、地元の村祭りでロックバンドのボーカルとして熱唱するシーンもあるのだ。
もしも今、永瀬正敏がイギー・ポップに再会したら、大好きな『男はつらいよ』のロックフェス?シーンでステージに登場した伝説のアクター(ミュージシャン?)として、大変な尊敬を受けるのではないだろうか。
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