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笹野高史が俳優を志したきっかけは渥美清だった

映画『武士の一分』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞するなど、今や日本を代表する名脇役である笹野高史。彼が俳優を志したきっかけは、渥美清だという。

2014年5月10日に放送されたBS朝日のトーク番組『極上空間』にて、竹下景子を相手に渥美清から受けた影響について以下のように語っていた。

ナレーター:実は笹野さん、俳優をはじめた当初は容姿に自身が持てず悩んでいました。そんな頃、心の支えとなっていたのが渥美清さんだったそうです。

笹野:じゃがいもみたいな顔でございましたから。当時、股下が何センチもあるだとか、水もしたたるような人が映画俳優になるっていう時代でしたから、「俺なんかが映画俳優になるなんていったらきっと笑われる」と思っていたんですよ。ええ、案の定笑われましたけどね。

そんな当時、渥美清さんがバーっとお出になってきたんですよ。NHKの『夢であいましょう』というのでワーっと人気者になって。それから『男はつらいよ』のテレビドラマも始まって、人気があって面白くってさあ。でも冷静に見ると、あんな四角い顔で細い目でね、もう世の二枚目スターたちとは全然違うタイプでしょ? ひょっとしたら俺でもイケるんじゃないかと思わせてくれたんです。

竹下:じゃあ渥美さんに憧れて(俳優になったの)?

笹野:そうそう。もう心の師でございます。渥美さんは。

竹下:その話、後年渥美さんにはなさいました?

笹野:あのね、柄本明と晩年三人でよく遊んでいただいたんですけど、話の徒然にそんなことを申し上げたような気がいたしますが……。「ははは!そうなの!」と笑っていただいたように思うんですけどね。

BS朝日『極上空間』(2014年5月10日放送回より)

NHK『夢であいましょう』は1961年放送開始の生放送バラエティ番組。渥美清が全国区のテレビタレントになるきっかけとなった番組である。その頃、1948年生まれの笹野高史は12~13歳の少年。渥美清の活躍は、俳優に憧れる笹野少年の心を勇気づけていたのだろう。

その後俳優になった笹野高史は、第36作『柴又より愛をこめて』にて寅さんのテキ屋仲間「下田の長八」として出演。

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そして、同じく寅さんシリーズに出演経験を持つ友人・柄本明とともに、渥美清の数少ない遊び友達となる。番組で語られたこの頃のお話も実に興味深い。

笹野:渥美さんに気に入っていただいて、柄本明と三人でよくお芝居を見に行って、その帰りにご飯を食べて帰るというのをしょっちゅうさせていただいたんですけどね。その時渥美さんは、お金を払っているところを私たち見せたことがないのでございますよ。

竹下:え、どういうことですか?

笹野:いつの間にか払ってらっしゃるんですよ。「じゃ、今日はこのくらいでおひらきにしましょうか」といってスーっとレジの前を通っていくんですけど、柄本ちゃんと二人で「いつ払ったの!?渥美さんていつ払ってんの!?」「謎だけどカッコイイよなあ~」って。お金を払っているところを若い人に見せたりすると、「あ、俺はこの人におごってもらったんだ」って思わせたりするわけでしょ?(渥美さんはそんなことを)思わせない。

竹下:まあ~。なんていなせ!

笹野:いなせ。カッコイイなあ。「お金なんて不浄なものを僕は触りませんよ?」みたいな感じ(笑)。

竹下:ああ今、渥美さんの顔が見えてきましたよ。

笹野:渥美さんは、なんというかオーラというものを普段も持っていらっしゃってて。私なんかは最近顔も名前も知られてきたので、街とか新幹線の駅とかで肩バンバン!って叩かれて「いつも見てるよ!」って、やれ握手だやれ写真だっていう風になるんですけど、渥美さんには一切そういうことがございませんでしたね。みなさん「渥美清だ!」「寅さんだ!」と気がつくんですけど、それ以上のことはなさらなかった。そこはねえ、違いますね。スゴイなあ、なんだろうねあれ。

竹下:みんなうっとりしちゃうのかしら?

笹野:「今日はプライベートですから」って断りもしなかったですからね。柄本さんと僕は(渥美さんに何かあったら)いつでも「プライベートなので今日は困ります!」っていう心構えはあるんですけど、そんなこと一切させませんでしたね。必要がなかった。

竹下:もう自然に道がサッとあいていく感じね。

笹野:エレベーターなんかに乗りあわせても「あっ」と皆さん気がつくんですけど、それ以上は(何もすることがなかった)。あれはなんだろうなあ……。

BS朝日『極上空間』(2014年5月10日放送回より)

そういえば、以前テレビのトーク番組に出演していた俳優のでんでんも、俳優を志したきっかけは渥美清だったと話していた(弟子入りまで考えていたらしい)。

笹野高史もでんでんも、ともに現在60代の同世代である。この年代の俳優やコメディアンには、渥美清に憧れてその道に進んだという人、結構多いのではないだろうか。

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