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『DISCO 翔んでる寅さん』/渥美清 フィーリング・フリー(CD)

『DISCO 翔んでる寅さん』。タイトルだけでイヤーな予感がするが、聞いてみるとやっぱり予感的中!といった珍曲がある。

この曲は1979年の発表、第23作『翔んでる寅次郎』にあわせて作られたイメージソング(劇中では使われていない)。1977年公開の映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の大ヒットを受け、77年から79年にかけて世界的に一大ディスコブームが巻き起こるが、そのブームは海を越え、遠く日本は葛飾柴又の、およそディスコとは縁もゆかりもない寅さんをこんな風に担ぎ出すに至ったわけである。

音楽性を無理やり喩えると「アラベスク meets 寅さん」といった印象。アラベスクの曲に「シャバダバダ!」という寅さんのやる気のないシャウトと、啖呵売をムリヤリくっつけましたみたいな変な曲。それが『DISCO 翔んでる寅さん』。

こういう流行りモノにのっかった便乗商法、渥美清は嫌悪していたのではないかと思うが、松竹はどう説得してこの仕事を請けさせたのだろうか。詳細をウヤムヤにしたまま別録りで済ませたのではないか。そんな邪推をさせるくらい寅さんの扱いが雑な一曲。

私は1978年生まれなので当時の狂騒ぶりを知るよしもないが、同じようなディスコアレンジの珍曲を探すと、発表が1977年から1979年の間に集中している。『DISCO翔んでる寅さん』のジャケットに描かれたネコのように、当時はネコも杓子もディスコの時代だったのだろう。

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