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『浅草フランス座の時間』/井上ひさし

井上ひさし
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渥美清、萩本欽一、ビートたけし。日本を代表するコメディアン3人が下積み時代を過ごした劇場が浅草フランス座である。

浅草フランス座はストリップ劇場でありながら、ショーの幕間には芸人がコントを披露していた。この舞台が駆け出し芸人にとっては登竜門であり、前述の3人は無名時代にフランス座で芸を磨いていたのであった。

著者の井上ひさしは、ショービジネスの舞台を大学の序列に例えており、これが面白い。彼によると浅草フランス座は東大、日劇ミュージックホールは東大大学院、その上の日劇はハーバード・ビジネススクール、映画出演は大蔵省にキャリア入省にあたるのだという。

そして渥美清は、横浜セントラル→百万弗劇場→浅草フランス座→日劇ミュージックホール→日劇と進み、その後は映画へと「進学」しているので、まさにエリート街道をストレートに進んできた芸人といえる。

井上ひさしは、肺結核の治療後に劇場へ戻ってきた渥美清と1年程度、浅草フランス座で一緒に仕事をしていた(渥美清の復帰後初のコントは、井上ひさしが書いたもの。本書にはそのコント台本も収録されている)。渥美と井上が当時を述懐する浅草フランス座同窓対談は、渥美清ファンなら注目の内容だ。

本書によるとフランス座時代の渥美清は、たった一人で舞台に登場し、次の演目が用意できるまでの15分間、なんとフリートークだけで客を爆笑させていたという。その日の新聞を広げながらネタを探し、ストリップ待ちの客を笑わせていたというのだから驚異的である。

当時の熱気を伝える渥美清×井上ひさしの対談はお笑い好きをワクワクさせるもので、タイムマシンがあったら真っ先にこの時代のフランス座に飛びたくなるほど、臨場感溢れる内容になっている。

その他には、ビートたけし×井上ひさし対談、井上ひさしによる渥美清追悼文、そして渥美清の貴重なブロマイドを含む浅草芸人写真などで構成されている。井上ひさし著『映画をたずねて 井上ひさし対談集』と内容が一部重複しているので購入の際にはご注意を。

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