『男はつらいよ フーテンの寅さん25年の足跡』/松竹株式会社

松竹映画が企画・監修をする『男はつらいよ』の企画本。シリーズ25周年にあわせて作られたものと思われ、第47作『拝啓車寅次郎様』までをカバーしている。

本書は、『男はつらいよ』47作品をさまざまなテーマでまとめている。たとえば「寅さんとマドンナ」「寅さんの恋愛指南」「寅さんと冠婚葬祭」「寅さんの口ずさんだ流行歌」など。テーマにそって、各作品における寅さんの言動や出来事をまとめた、かんたんな読み物と写真が収録されている。

写真点数は非常に多いが、劇中のものが中心でレアな写真はほとんどない。また、ほとんどの写真が2色刷りで、読み物のスキマを埋めるよう雑に配置されているため見応えがなく、ムック本形式の良さを活かせていない。

なんというか、全体的にデザインがヒドいのだ。ところどころワンポイントで挿入されるチープなイラストが、粗雑な印象に拍車をかける。企画も貧弱で、ひとつひとつの掘り下げも甘いから、しっかりと中身を読む気にもなれない。

もっとも致命的なのは、『男はつらいよ』シリーズに対する愛情がほとんど感じられないこと。松竹から提供された資料を元に、ライターが淡々と仕事をこなしている印象の本。『男はつらいよ』25周年という節目になんとか間に合わせるために急いで作ったのか、予算がほとんどなかったのか、あるいは監修である松竹のセンスが悪すぎるのか。いずれにしろ残念な企画本である。

同様のコンセプトの本としては、NHK出版から出ている『男はつらいよ パーフェクト・ガイド』があるが、全ての点においてクオリティはこちらの方が上。

気軽に読める『男はつらいよ』シリーズガイドをお探しであれば、『パーフェクト・ガイド』が手元にあれば十分だろう。

      2016/05/31

 - 男はつらいよ書籍紹介